紙媒体の虚しさ
販促のなかでも一般的なものに「紙媒体」があります。雑誌、新聞広告、新聞の折り込みチラシ、ポスティングチラシなど、紙に記す広告は一般的であり、私たちもよく目にします。
ですが、その反応率はどうでしょうか。普段の私たちが反応する紙媒体で告知された販促は限られているのではないでしょうか。それは飲食店やスーパーなどのクーポンや安売りに限定されるのではないでしょうか。それ以外のサービスを紙媒体で目にしても、よほどクリティカルでなければ反応しないのではないでしょうか。
それも私たちの年代によるのです。若い世代、単身の世代などでは「新聞」を購読していなかったり、家庭を持ち、オートロックのマンションなどに暮らせば今度はポスティングチラシを一切目にすることがなかったり、雑誌は立ち読みでしか目にしなかったり、ライフスタイルによって接触する機会がバラバラなのです。それはなにも「紙」だけに限ったことではなく、メディアによってターゲットとしやすい「層」がある程度予測できるのですが、中でも「紙媒体」は顕著であるということです。
しかも紙媒体の難しさは制作から出稿までのタイムラグにあります。制作から出稿までの期間を考えてみると、構成を考えてクリエイティブに起こし、それを校正して印刷屋に入稿し、印刷を経て世の中に配布されるわけですが、そのタイムラグはWeb広告の比ではありません。広告を出稿するためにはある程度の時間が必要なのは当然なのですが、中でも「紙」ほど手間と時間がかかるものはありません。さらに、一端印刷してしまうとあとは修正のしようがありません。紙媒体の広告でよく間違えられているのは「数字系」の情報です。価格、日時などの情報が間違えられたまま配布されているものをよく目にします。
それほどまでにリスクのある「紙」の広告ですが、その反応率は著しく低くなることが多いのです。「とりあえず配布しておけ」という程度で紙媒体を用いる会社が多いものの、「とりあえず」という割には手間と時間がかかり、そして一枚一枚に対して確実に「コスト」がかかっているのです。
確かに紙媒体は「手」に取ることが出来る広告です。広告主もその広告を手にとって「これが配布される」と、確かに実感することもできるでしょう。新聞の折込みチラシなども、部数でいけば「何万部」という部数で配布することもできるものです。ですが、枚数の割に反応が全然ないというのが紙媒体の性質です。見ているのか、見ていないのかですらわからず、ただ配布されていることは確かなので、「認知はされた」というニュアンスになってしまいます。
それで「認知させることできた」と満足するのであれば別に構わないのですが、「チラシで見た」という程度の商品、サービスをどれだけ覚えていてくれるのかというと、効果は「ゼロ」に等しいといえるのではないでしょうか。そのような広告は「販促」になっているのかどうか、甚だ疑問です。
もちろん、業種によっては紙媒体が効果的な場合もたくさんあります。「効果」を見て「意味のないところには投資をしない」という捨てる選択も必要な時代になっているのです。大切なことは「こんなものだろう」と思わないことです。効果は「出す」ものであるということです。