インナーとアウターというセグメント
ビジネスを展開していると、すでに接触のあった既存の顧客と、まだ一度もそのサービスや商品に触れたことのない人に分かれてくるものです。たとえ継続的な役務、サービスではなくても、一度でも商品を購入してくれた人はすでにこちらのことを「知っている」ということになります。
このようなすでに「知っている」ユーザーと、「まだ一度も触れたことがない」というユーザーでは、「アクション」にまで引き上げるための労力がまったく異なります。それは私たちが「知人」と「初対面」の人に対して違う行動をとることと似ています。「知っている」というだけで、人はなんだか親近感を感じるのです。「知っている」というだけで、なぜか好意的になってしまうのです。だからこそ、最初に「認知してもらうタイミング」を販促やプロモーションでは重視します。「知ってもらってこそ」、有効になる販促もたくさんあるからです。
すでに一度商品やサービスに触れたことがあるユーザーを「インナー」、そしてまだ一度も自社に触れたことがないユーザーを「アウター」とセグメントすると、「アクション」を引き起こしやすい「インナー」に対しての方がはるかに低い予算で売上に結びつく販促が可能です。それは「知ってもらう」、「認知してもらう」というプロセスを省けるからであり、さらに「インナー」に対しては「日頃からご愛願ありがとうございます」という謳い文句で自然なアプローチが可能だからです。長く使う商品やサービスなどであれば、「サポート情報」という名目でコンタクトを取ったりすることも可能です。「インナー」とは、また「購入に繋げるべき」相手であることは間違いありません。セグメントとしては最高ランクの「顧客」なのです。
ビジネスの成否は上手にリピーターを確保できるかどうかにかかっています。それは最初の接触から購入、そしてそれを「体験」するというプロセスにおいて「納得してもらえるかどうか」ということにかかっています。つまり、すでに対価を支払った部分に対して「満足できるかどうか」ということです。もちろん、「満足」してもらえなかったようであれば、その後のリピートは絶望的になるでしょう。
初回購入、最初の利用というのは、実はその後にリピートしてもらえるかどうかを左右する最大の販促ということになるかもしれません。つまり「制約して終わり」ではなく、成約した後こそが、その後の顧客との「付き合い」においてもっとも重要な局面になるということです。そうして自社の商品やサービスに「良い印象」を持ってもらえることで、その後のアプローチの反応率が高くなります。例えばユーザー限定のキャンペーンを行うだとか、ユーザー限定で新商品、新サービスを先行リリースするなど、「顧客でいること」自体がなんらかのロイヤリティになるような販促であれば、顧客側は「セールス」と捉えないのです。
販促の対象をセグメントして、それぞれに適したアプローチを行うことは常套手段ではありますが、中でも最高ランクに位置するのが「インナー」です。ただ、このインナーもちょっとした不具合やサービスの失敗で、すぐにこちらに対して「もうダメだ」というマイナス印象を持ってしまうことになります。ビジネスとは常に真剣勝負だということです。