知ってもらえばそれで良いのか

販促活動のポイントとして、「いかにして人に知ってもらうのか」ということが挙げられます。ですが、その「人に知ってもらう」ということに主軸を置き過ぎると、また成果の得られないムダな活動になってしまうかもしれません。

「こんなものがここにあります」とただ人に伝えるだけなら簡単です。大きな看板などを打ち立てればいいのです。さらには新聞や雑誌などに大々的に広告を載せればいいのです。テレビコマーシャルを打ち、インターネットにも進出して、その商材を宣伝すればいいのです。ですが、それだけでは「認知」させるだけで終わってしまいます。認知した瞬間にそれが欲しいと感じる人は、「そのようなモノを待っていた」という人です。そのようなモノを待っていたという人であれば、その商材を知った瞬間にそれを購入する可能性はあります。

ですが、「それを待っていた」という購買ニーズに至るまでにはプロセスがあるはずです。それが必要となるシーンを経験したであるとか、そのようなモノを使用している人を見て「いいな」と感じたなど、それはさまざまでしょう。認知させるだけではこのような体験をしていない人に対してはまったくの無力なのです。そのモノの「価値」というものは、「実感」してはじめて気がつくことなのです。

販促の真髄は、そのような「必要と感じる」、「実感」するという段階にないユーザーにそれを「追体験」させるということです。それがどのようなモノであれ、それを使うと何が出来るのか、それを買うとどうなるのか、それを持っているとどう人に誇れるのか、何が嬉しい、何がオトク、何が「価値」なのかを、「納得」させることが販促の真髄です。それはあたかも「営業マン」のトークのようなものです。営業マンがビジネスにおいて必要な理由は、語らなければわからないことがあるからです。説明しなければわからないことがあるからです。語ってはじめて実感する、語ってはじめて理解する、興味を持って、質問して、はじめて「理解」できる、そのようなプロセスを体験させることができるのが、直接接する対面営業なのです。

人が欲しいと感じるプロセス、そのモノの価値を認めるプロセス、自分の身に置き換えて、それが「大切だ」と感じるプロセスを「再現」すること、それが販促においてもっとも即効性のある方法論です。そのような方法を取らなければ、いくら大々的な販促を実施しても「体験」までに至らず、「なんだか見たことがある」とか、「なんだか知っている」ということに留まってしまうでしょう。それではまったく意味がないのです。

人に何かを買ってもらうためには、「自分がどのような体験をすれば買うのか」ということを思い起こすことからはじめるのがいいかもしれません。人が何を買うのか、人がどのようなモノを求めているのか、深く考える必要があるのです。何も考えない販促は、目隠しをして鉄砲を撃つようなものです。それは「運が良ければ当たるだろう」というものです。ですが、「仕事」として、「プロ」としてその販促に関わるのであればそれではいけません。素人ではいけないのです。「狙いを定める」こと、そして狙った先に獲物がいないのであれば、獲物をこちらの都合が良い場所に誘導することが大切です。

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