「しつこいと」思わせない手法を探る
どこに行っても、何を見ても、決まった看板しかない。どこに行っても、何を見ても、決まった広告ばかり。しかも同じものばかり。そのようなプロモーションの展開では、それに接触するユーザーは飽きてしまうのです。
大量の費用を投下して、さまざまなところでそのプロモーションに接触してもらうということは大切なことかもしれません。そのように認知させておいて、いざそのような商品が必要になったときに「選んでもらう」ということは大切です。ただ、「全部同じ」クリエイティブではさすがにそれに接触する人も呆れ返ってしまうのではないでしょうか。
面白いキャッチコピー、一度見たらどうしても忘れられないクリエイティブ、どうしても記憶に残って、頭から離れない演出というものは確かにあります。「インパクト」というものを重視したクリエイティブは、「ファーストインプレッション」がすべてです。最初の印象がすべてであり、最初に感じたこと、思わず二度見してしまったなどのクリエイティブは、人の記憶に「残る」クリエイティブです。そのようなインパクトで、商品を印象づけるということは多々あります。「面白い」とか、「なにこれ」という意外性を含んだ販促物は、成功すればかなりの人に支持されることになります。それをキッカケとして話題になったり、商品への理解が進んだり、そのようなことを期待してクリエイティブにこだわるということは多々あるでしょう。
ただ、そのクリエイティブの「露出」のボリュームにこだわり、どこに行ってもそれがある、どこに行っても同じ広告があるというような状態は少し逆効果かもしれません。そのような「意外性」のあるクリエイティブは、「ファーストインプレッション」こそが大切であり、二度目以降は「見たことがある」ものとして一気に効果を失うのです。
販促の戦略とはどのようなクリエイティブをどのようにして「どれくらいの人に」見せるのかということにあります。そこを測り間違えると、ムダに同じ広告がやたらと出回るということになります。「たくさん接触させればいい」というわけではありません。大切なことは「効率的に」人に認知してもらうということです。「延べ人数」ではなく、「絶対数」を考えることです。
延べ人数の中には同じ人が含まれます。それぞれの人が10回ずつ接触したのであれば、絶対数は延べ人数の10分の1です。そして、購買数の母数となるのはその「絶対数」です。
クリエイティブを世の中に広める際、広告代理店などに頼むことになるでしょう。その際に算出される「接触数」は、絶対数なのか、延べ人数なのか、しっかりと見極めなければいけません。特に「インパクト」を狙ったクリエイティブなどは直接購買を促すものではありません。そのあとのユーザーの行動が大切であり、クリエイティブに接触した人のどれくらいの人に「次に何をして欲しいのか」ということを明確に持っておく必要があります。目的はあくまでも「売上」なのですから、いくら認知してもらっても買わなければ意味がないのです。
そのようなことを考えると、その後の「導線」の構築も非常に重要です。ただ知ってもらうだけでは意味がないということは重々承知だと思います。