販促と広報の違い

「販促」と「広報」というものは時に混同されるものです。どちらも「人に知ってもらおう」とする試みだからです。ですが、広報と販促には決定的に違うこともあります。

それは「売上」への意識ではありません。企業はどちらにしても売上、そして利潤を追い求める組織です。その組織にあって、売上の追求を無視することは「背信行為」と同じです。ただマスメディアに対してアプローチして、大々的に取り上げてもらえばいいというわけではないのです。広報にしても、販促にしても、最終的にはそれが「成果」につながらなければ意味がありません。

それでは、販促と広報は何が違うのでしょうか。まずは仕事の中身から、考えていけばわかりやすいのではないでしょうか。会社の部署として「販促」と「広報」という部署がわけられている場合、それらの仕事の内容を見てみれば違いがわかるはずです。

まず「販促」ですが、これは主に販促物を制作するような部署ということになります。実際にクリエイターを抱えて制作を行う場合もあれば、外注をメインにして、その制作管理や予算管理をメインにする場合などもあるでしょう。会社によっては実際に販促活動を行う部隊を備えている場合もあります。この場合の販促活動とは、実際に街頭でティッシュを配ったり、店頭などでなんらかのイベントを行ったりすることです。例えば物販ではなく、何か継続的なサービスを提供するようなビジネスであった場合、リーチした瞬間に「即決」するようなことは難しいのです。そのようなサービスを成約させるためには「プロセス」があるはずで、そのプロセスを紐解くと「アポイントを取る」というパート、そして「実際に商談」をするパートにわかれることになるでしょう。その「アポイント部分」を販促部隊が担っているケースもあります。つまり、より「現場」に近く、より売上に近いポジションにいるのが販促です。ただ、直接売上を上げるのは営業マンであったり、ショップなどであったりするわけで、「売上のアシスト」という立ち位置にはなるでしょう。

対して「広報」は、各マスコミ、各メディアへの対応を第一としている場合が多いものです。各マスコミ、各メディアへの対応の重要な点は、メディアというものは風評を左右するからです。例えば商品、製品、サービスの不具合などが「社会悪」として大々的に取り上げられてしまった場合、その商品の市場での価値は一気に下落するに違いありません。価値が下落してしまうということは、すなわち「売れない」ということです。さらには、その商品だけではなく、「会社」として「悪」という報道をされてしまえば今後他のビジネスを展開しても世間に受け入れられなくなってしまう可能性もあります。そのようなことを「防ぐ」のは会社としての取り組みであることは間違いありませんが、そのような自体が発生した際の「対応」という点では「広報」の担当がしっかりと構えておく必要があります。

そのようにより対外的、世間的な視野になって会社を守るのが「広報」の仕事ということになります。それは目先の売上だけではなく、会社としての存亡を左右するような重大なタスクです。中には会社のプレスリリースを担ったり、取材が入った際に対応したりするなど、「広報」は世間に対する会社の「顔」という位置づけなのです。