販促を捉え違えると売れない

何かを「売る」ためには「メッセージ」が必要です。「メッセージ」とは、それを受け取る人に伝わってはじめて成立するものです。伝わらないメッセージほど意味のないものはありません。

ましてや、販促ではそれを受け止める人が誰なのか、発信側のこちらはわからないのです。わからないからこそ、一人でも多くの人に伝わるように万人受けするように表現を柔らかくしたり、さらには誰もが納得するように一般的で常識的な表現にしたりしがちです。ですが、その結果伝えるべきメッセージは曖昧な表現になってしまったり、さらには当たり障りの無い内容すぎて誰も興味を持たなかったりといった現象が起きてしまいます。それは「販促はユーザーに届いてはいるけれど、なかなか刺さらない」ということです。その結果としては、「売れない」という現象が起こってしまうのです。

販促を成功させるための最大の要因を「接触母数」と述べました。どのようなクリエイティブも誰かの目にはいらなければ意味がないということ、どれだけこだわっても、誰も見ていないのであれば「無い」と同義であるのは間違いありません。ただ、その「見てもらう人」をあまりにも「万人に」と想定しすぎて「誰が見ても良い」ような内容の薄い販促になってはいないでしょうか。

実は販促を成功させるための条件として、「誰に見てもらうか」ということが重要です。要は「ターゲット」です。

訴求したい商材は、いったい誰が欲しいのか、誰にマッチしたものなのか、どのようなときに使ってほしくて、どのような人が必要としているのかということです。それが「ターゲット」です。その「誰」に対して「どのような」メッセージを伝えたいのかということが、販促の大前提なのです。

ここ数年では、プロモーションや販促のことを「コミュニケーション」と呼ぶこともあります。それは「出して終わり」、「見せて終わり」ということから一歩踏み込んで、「受け手に反応を示してもらう」ことを前提とした考え方です。「コミュニケーション」という言葉で販促を考えれば、「受け取った相手からの反応を期待する」ということが念頭におかれ、その前提の中では「このように伝えればよりわかってくれるのではないか」とか、「このようなことをこのような人に伝えるべきではないのではないか」というような「相手」のことをより深く考えた表現、クリエイティブを自然と考えられるようになるのです。

受け取る人がいてこそのメッセージ、相手が反応を示してこそのコミュニケーション、販促をコミュニケーションと捉えれば、そこに必ず「相手」がいて、そこに必ず「これを伝えたい、伝わった人はこうして欲しい」という血の通った「想い」が生じるはずです。それが販促の真髄であり、「人と人」のコミュニケーションです。

ただ仕事だからポスターを作るのではなく、ただ仕事だから販促物を作るのではなく、誰が見るのか、見たあとにどうして欲しいのか、そのような行動を促すためには何を第一に伝えるべきなのか、それを考える必要があるでしょう。そして、受け取る人がいると理解すればするほど、それは「自然」に想起されるべきことなのです。販促とは、派手なことをやればいいというわけではありません。

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